交通事故後のトラブル増加は
〔物損事故〕車両相互事故が発生原因,
追突,出合い頭衝突が最大

昭和から平成に移り、死亡事故は減少傾向を辿るものの、交通事故の後始末とでもいうべき事故処理は頓挫するケースが増えている。
一つには、損害保険会社の処理方針が曖昧になってきていることが挙げられる。かつての損保における過失関係に対する感覚と過失を確認する手立てが、このところ現場意欲が減っている実状を見ることが多い。
同時に、かつてのような損害保険会社で、保険金支払いを行う損害調査センター(通称、自損調C)の力量も落ちてきたのでは、と思わせる事柄が目立つ。
その事例として、当所で相談を受けて方針の確立から解決への方途を話し合い、事故の解決を目指した幾つかのケースをご紹介しよう。
いずれも物損事故である。
特筆できることは、物損(警察では物件と称している)事故であるため、ほとんどが管轄の交番で立番にある警察官が届出を受けて、処理にあたっている。実況見分は無い。
従って、事故原因や責任に関しては、全くといってよい程、拘っていない。『どうするかは双方で話合え』と、当事者たちに言い渡して終わりである。その先から混迷が始まる。 当然のこととして、当事者の一方が先手をとり、相手に全責任を求めたり、また突如として裁判所へ訴えて損害請求する、など。現実は混迷した様相が垣間見られるのが現状のようである。
相談受付から調査に移り、調査書が裁定の場へ、提出されることになる。そうしなければ、ただ単に、相手に押しまくられることになる。ペースも相手に握られてしまう。
要は、声の大きい方、ゼスチャーの大きい方に世間は見方する。へたすれば、完全な負け組になる訳である。
そうはなるまいとして、保険会社が傍観する中で、当事者は一人頑張らなければならない。今までに、そんな場面に幾つも遭遇してきた。 では、車両相互事故というのはどの程度の規模をいうのかと云えば、
平成15年度交通事故発生件数94万7,993件
中,”車両相互”は、80万9,918件。
85.4パーセントを占める。
そのうちで、追突、出合い頭衝突事故が79万6,565件。83パーセントである。
平成17年度事故発生件数93万3,828件。
平成18年度事故発生件数88万6,864件。
この中に占める車両相互事故の傾向は、上記の15年度とそう違わない。 あなたの場合は、大丈夫なのだろうか。
ケース1.
  東京の隣接県で起こった事故で、主婦の青山夏子さん〔仮名・41才〕がニッサンの乗用車で近くのスーパーへ出掛けようと、市道(4.6メートルの幅員)からT字形の交差点で右折しようとして、フロント(車前部)を約60センチ県道へ侵入させた時、右方から突如としてスピードを出して走行して来たトヨタ製の乗用車と接触してしまう。相手車は制限速度を10キロ位オーバーしたスピードであった。トヨタ車に乗っていた方も女性で20才のオフィスガール。事後処置は、保険会社同士で話し合うことになったのだが、数日を経てから、相手車の会社を代表する役員から電話があり、百パーセント青山さんが責任を取れ、と主張して来た。青山さんは大手損害保険会社に加入していたものの、車両保険には入っておらず。損害保険会社からみれば、車両保険に加入しない身勝手な客として映る。扱い方としては、どう見てもBクラスとしか見られない。
現実に、そんな評価と扱いで、相手者への補償は90パーセントまで支払う、という意志となって伝えられて来た。
ところが、この後、相手方となるトヨタ車を所有する会社役員から、「車両の修理代に加えて、会社が負担したすべての費用等を支払え」との内容証明郵便が舞い込み、「法廷で争う」と通告して来られたのである。青山さんは仰天した。
自車両の損害・修理見積もりが34万円。相手からの車両修理見積もりが22万円。プラス会社が蒙る損害の費用数十万円を払えと電話で捲し立ててきた、というものであった。
裁判所からの呼出し直前になって、調査依頼があり、調査結果は、青山さん側80パーセント、相手方20パーセントの責任に値するものと思料する、という内容で報告したが、裁判所の裁定もその通りとなった、と後で聞かされた。
青山さんは自車両の修理代に加え、相手車両の修理代80パーセント分17万6千円をも負担する訳である。(80パーセントは自動車保険の対象で支払われる)
合計51万6千円が青山さんの支払った金額になる。不当な責任と支払いは退けることができた。
ケース2.
 
これもある隣接県で起こった事故である。深夜、私有地になる野地を駐車場に急造した場所から、全く照明がない真暗なところから幅員5メートルの市道に進出しようとしていた乗用車(4輪)が、右方から減速せずに走行して来た中型貨物車に衝突され、乗用車は大破した。
乗用車を操縦していた鈴木太造さん〔仮称・30才〕は、注意して市道側(車道)〜約60〜70センチ程、フロント(車首部)を突き出しただけで、右方への確認は行っていても大きな生垣(植込み)で視界が効かず、下車して目視による安全確認を行っていたにも拘らず、安全と思い進出した結果の衝突で、貨物車の方にすれば、突然に暗がりから物体(車)が飛び出して来た、との印象しか生まれない出来事なのである。貨物車は、数十メートル手前の脇道から市道へ入って走行して来たもので、事故地点までは数秒しか掛からないスピードであった。鈴木さんが安全確認してから乗用車の運転席へ着くまでの時間に、貨物車は、乗用車の右方から走行して来たのである。
双方共、不運な状況を作り出していたことになる。乗用車の鈴木さんは左折予定であった。『路外施設から道路へ入る(左折予定)車』に貨物車が衝突した出会い頭事故である。
鈴木さんの乗用車は、フロント右側面から入力されエンジンルームが全壊。貨物車はフロント左角部が大きく損壊して変形。双方共損害は大きかった。しかし、保険会社と各々のユーザーである当事者は、過失割合いに満足せず、場合によっては法廷で争うことを覚悟した。話合いがつかないと法廷しか黒白をつける場はない。
係争を前提とした調査を実施したのである。原因として挙げられることは(1)一帯に照明がないこと。暗闇の状態。(2)路外施設(駐車場)が有るが貨物車は減速していない。(3)路外施設の手前から路側帯の幅が広がったため、貨物車の左前輪は路側帯に入って走ってしまい、衝突原因となってしまった、ことであった。
夜間は特に、前照灯で照らし出した前方の路上から、目が離せない。
ケース3.
  ある政令指定都市で住宅地の中を通る住宅地内道路(生活道路)が事故現場である。そこは変形した十字路(交差)である。通り抜けるのに一苦労するような場所である。
OLをしている白川静子さん〔仮名・25才〕は、この変形交差路を、ホンダの普通乗用車で通過しようと一時停止のうえ、安全と思い、ゆっくり前進して50センチ程進んだところで、突然右方向から走行してきた軽乗用車に遭遇した。軽自動車は減速せず、指定制限内の速度ではあったものの、主道路であるためハンドルの回避操作をせずに十字路の部分を通過しようとした。その時、白川さんのホンダ車のバンパー左前部が、軽自動車の左側面に当り、強く擦った。白川車の左前部と軽自動車左側の接触事故である。
間に入って調整をはかった代理店者が作成した、一方的な事故想定図が提供されたが、これに白川さんが納得せず、車両の損壊状態と図は一致しなかったことが理由である。白川さんの車はホンダプレリュード。フロントには流線が生み出す円形の丸味が付いていた。相手方の代理店者が描いた事故図は、車両の形態から見て全く整合しない為、精密な調査を行うことになり、結果として、ハンドルを右へ切りつつ前進(50センチ位)した位置で接触が起きたことが判明したのである。
原因は、双方の見通しが悪かったことに加え、主道路が相手方から見て、左曲がりのゆるいカーブが存在したことであった。これでは物理的に見えないことと、視覚上に建物等、障害が有ったことが原因になる。望むべくは、軽自動車が注意心を持って減速することに加えて、適切なハンドル捌きで右へ少し逃げれば事故は避けられた筈である。こういった場所で起きる事故は、概して一瞬の気の緩みから発生する。
エキストラ.  上に挙げた事故のケース(1〜3)は、一般公道で発生した、道交法上、効力のおよぶ場所の事故である。
ところが私有地である広い駐車場や学校、企業体所有の広場、規模の大きい集合住宅である公団住宅、民間マンション内の駐車施設で発生する事故がある。大概のところは共済か損害保険会社の補償制度に加入しているが、補償機構は一つでしかない。(または一社のみ、ということ)
実際に駐車上で住民同士の車が接触事故を起こしても、事故申告から補償請求を申請すれど、そうすんなりと支払われるとは限らない。理由として、事故の原因と責任は双方が分け合う形になりやすい。
また、団地やマンションには、「○○団地・団地管理規約」が有り、そのうえで「○○団地・維持管理に関する覚書、管理規約、使用細則、駐車場利用細則、集会室利用細目、管理委託細則」等がある。実施には事故があれば、このような規約と細則から見てどうか、となろう。
更に、関与する補償機構はひとつ(一社)しかない。加害被害の何れでもない訳である。こなれば、必然的に補償額は少な目に見るのが通例であろう。簡易裁判所へ申し立てを行っても、仲々、思うようには結果は出せない。また住民感情が入り込む。大変に複雑な状況に環境が変化してくる。事故の当事者にとっては、そういった環境を決して望んだことではない。
実例として、自車の過失責任を10〜20パーセントと見立てても、結果的には60パーセントは有りますよ、と言われたケースがあった。仕方ないのでは・・・となるようである。
私有地内の安全にも、十分に注意していただきたい、ものである。(2007.3.) 調査をご検討される方は、事故発生後、数日中に、調査の実施をお勧めする。各頁をご参照のうえ申込み、依頼手続きをおとりねがいたい。
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